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    • 2014.11.05 Wednesday
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    【銀の雫の降る都】かわい有美子

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       泣いた〜
      久々にボロ泣きしたBL小説です

      私、あまりファンタジーって好きじゃないんです
      だから漫画→字が多いい小説が読みたい→ファンタジー文庫コバルト文庫
      となった時に、現実感のない設定に入って行けずに
      そのまま「純文学性の普通の小説」に行ってしまった
      同じような意味でミステリーが好きじゃないのも
      実際はああやって謎解きする殺人事件なんてほぼないと思っているので
      だったら刑事小説やハードボイルドのがまだ現実感があって好き


      なので今回も表紙の感じから「ファンタジーか〜」と期待していませんでした
      特にBLの場合は「なんちゃってファンタジー」が多いいから
      何でも許せる&ある「ファンタジー」だからこそ
      「ファンタジーの中でもできないこと」の線引き・ルール作りが難しい
      やりすぎてもご都合主義になってしまうし
      色々詰め込みすぎて「軽いファンタジー」になってしまったり
      難しくしすぎてその世界観を書ききれずに作者が持て余しちゃったり
      そして、世界観がきっちり出来ているものは
      反対にその世界観を説明することに作者が躍起になって萌が足りなかったりもします

      夜光花さんとかはその加減が上手なんです
      あと軽〜い「なんちゃってBL」はそれはそれで面白設定として楽しめます

      ともかく「BLでのファンタジー」は
      何でもできるけど何でもできる分諸刃の剣


      でも、そこはさすがかわいさんでした
      ファンタジーだけど「静謐」なのです
      派手さがない丁寧で静かな物語
      こういう舞台設定だと派手にしがちなのに、とても穏やかで美しい物語


      私の適当なあらすじ

      大きな国から僻地に統治者の監査員?のカレル(受)
      たまたま街を監査中に人身売買してるところ立会い
      剣闘士として売られてる少年ユーリス(攻)を気まぐれで買い取る
      そのまま返すつもりだったが成り行き上,手元に置くことになり
      知識や面倒は周りの執事?みたいにの任せて基本ノータッチ
      だけど、たまにかける言葉や人形のように整った容姿
      どこか寂しげな雰囲気に次第にユーリスはカレルに心寄せるようになる

      受が綺麗だと言っても、BLらしく男も女も魅了する美形ではない
      そして、元々色が白いから紫外線に弱く薄〜く頬にそばかすがあったりする
      「シミ一つない美しい肌」がBL受けにとって当たり前なのに珍しい
      また、感情の起伏がない人形のような受けを人間らしく思え
      不思議な可愛さ?に感じます

      女性が少ない人口設定ですので男同士でもそんなに違和感はない世界観
      でも、基本は男女が普通
      「美しい」とされる受だけど、特に攻以外に男に言い寄られたりもしていない
      かわいさんの作品の好きなところの一つに
      受けの魅力を強調するために必要以上にチヤホヤされる描写をしないところ
      そういう風にサブモブで引き立てるようにしなくても
      ちゃんと行動や態度で受の「人としての美徳」が伝わるようなエピソードや
      表現をしてくれるのです
      ファンタジー設定だけど男女関係が普通の世界で
      受けも特に男に襲われるとかはない、というのが適度なリアル感がある
      blだけど女性の扱いが丁寧なのもいいです

      剣闘士として成長したユーリスは国で開かれる大きな大会で優勝
      一生遊んで暮らせる金と効果な宝石の王冠と貴重な女を
      褒美とされますが、売れば相当な値段になる宝石の王冠を断り
      大会主催者として優勝者に王冠を捧げるカレルの胸にある花を強請ります
      そこで、カレルはユーリスの真摯な愛情に気づきます
      さらには女はいらないからカレルの護衛職に就きたいと申し出たユーリスは
      優勝賞金をすべてつぎ込んだ指輪もプレゼントする
      ただ誠実に自分に愛情を注いでくれるユーリスにカレルは戸惑います
      カレルは元々名家の出ですが、体が壊死する奇病にかかっており
      その遺伝子を嫌った家族から遠ざけられ、この辺境の地で監視官をしているのです
      体が弱いし女は少ないしで特に女性に興味もなく
      家族からも愛されないまま、自分の体や状況に劣等感と虚しさを抱き心を閉ざし
      ただ静かに病を受け入れ日々を過ごすだけの諦めの人生
      そんな自分といても何も楽しいことはないだろうと
      ユーリスに女をあてがおうとしますが
      ユーリスはそれがカレルの自分への答えか?と憤ります
      カレルは好かれと思ってやったことで戸惑います

      この間に一緒に海をみたり、街を見たりする描写があるのですが
      その書き方が本当情景が浮かぶように美しいんですよね
      華美な言葉や凝った表現方法や過度に力んだ文章じゃないのに
      自然にすんなりと美しくリアルな情景描写をされている
      私がかわい有美子さんの小説で好きなのはここなのです!
      BLに置いて「状況説明」だけでない「美しい情景描写」てあまりない
      攻め受けに萌えるために二人の「感情」「動向」「状況」は必要でも
      「美しい情景」は彩り程度しかない、ぶっちゃけ必要ない
      それでも、小説という媒体である以上は私は「美しい描写」が好きなのです
      でも、BL作家がこれ意識してやろうとする場合どこかわざとらしい
      「美しいことを頑張って表現しようとしてる文章」になりがち
      私が「小説として美しい描写」だなっと思うのは
      文章を読んでいるだけなのに、目の前にその情景が浮かんでくるような
      匂いや光や香りや音が感じれるような生々しさがるあるモノです
      「読者の想像力を喚起」する文というか
      どういう文が、そうなるのかはわかりませんが
      一般の小説よりさらに「現実のものでないBL」に置いて
      そういうリアル感を挿入できる文章って中々ない
      かわい有美子さんはそれができる、珍しいBL作家さんだと思います
      そういう「描写の美しさ」に興味がなく萌だけ探求すると
      かわいさんの作品は時に説明が多く感じたり
      または景色の美しさなどにリンクして間接的に二人の感情を表現したりもするので
      周りくどく感じてしまう人もいるかもしれません
      捉え方は人それぞれだと思うのですが
      この一般作家や賞作家さんでやベストセラー作家さんでも
      できてない方もいるので、私はかわいさんの表現がすごく好きなんですよね〜
      「言葉を費やして逐一何があったのかわかるように
       如実に丁寧に書き込んでいるわかり易く情景が浮かぶ文」ではありません
      ライトノベル等にある「すべてを文で書ききる」方法ではないのです
      なので、ラノベ系ばかり読んでいると
      かわいさんの文はふわふわして掴みにくいところもあると思う
      「読者の想像力で情景が浮かぶ文」
      読みながら作者から与えられる情報だけでなく
      読者自らが物語を想像力で組み立てていく楽しみがある

      「想像力で補う」ではない
      「この二人いつ仲良くなったのかわからないけど
       きっとあの後意志の疎通があったんだろうな〜」みたいな補いじゃない

      例えば、私この後出てくる指輪の造形
      挿絵と私の想像では形が違いました
      そういう風に同じ文でも読み手によって捉え方が違ってくるのが「想像力と読書」だと思う
      BLはいいけど、一般小説に挿絵がいらないな〜となるのは
      ラノベや少女小説やBLは、作者の物語をそのまま楽しむ感じだけど
      一般小説の読書家は「本の文字を想像の中で自分なりに構築する楽しみ」を
      求めるいるからだと思います



      また、艶やかな状況を作るのが上手い!
      その状況がちゃんと二人の気持ちに沿っていって
      エピソードが追加されるたびに二人の距離が少しずつ近づいていく
      大きな事件が起きたり、煌びやかな展開じゃないけど
      じわじわと読み手も二人の心に気持ちを寄せていける
      今回もユーリスがカレルを意識するきっかけになるお風呂のシーンとか
      イヤラシさはないのに美しさと色気はある
      宝石の王冠でなくカレルの胸の花を求めるシーンも美しい
      指輪をあげるシーンもカレルは寝椅子に寝っ転がったままだし
      「こいつ本気なんだな」てわかるのに、別にそれで急に好きになったり
      BLの受けにある乙女みたいにときめいたりしない
      指輪も実はカレルはもっと高価な宝石を知っていたりする
      それでも、カレルとユーリスにとってこの指輪がどれほど価値があるか
      この指輪によって二人がどうなるのか
      そして、この指輪が最後の最後まで関係する小物になったり
      とても良くできたエピソードになっているのです
      小さな設定や状況がすべてちゃんと意味を持っているのです
      大きな動きで物語を作るのではなく、この地味な積み重ねがツボ!!
      この丁寧さが好き
      凝った設定や面白いエピソードやすごく萌えるシチュエーションとか
      派手さはないのですが、それがいいんです

      ユーリスの愛情に確実な答えを出さないまま
      穏やかな好意に安らかさを見出すカレル
      ある日、いつも通り監査した街で暴動が起きます
      命からがらユーリスに助けられ荒屋に逃げ込む二人
      命の危機を感じ、力強く自分を守ってくれたユーリスに
      ここで初めてカレルは確実な愛情を感じます

      これ、普通のBLならここで初めてのエッチでしょう!!
      命の危機を脱して、愛するモノと二人暗がりの中、思いを確認しあう
      状況は揃っているのに・・・・
      でもそうはなりません!!
      ユーリスはカレルの薬を取りに行く為&助けを呼ぶために
      カレルを置いて小屋を出ていく・・・
      残されるカレルはもし一人の時に暴徒がきて
      暴行され惨めな死に様をさらすなら・・・と自害をしようと
      ユーリスに銃をおいていくように頼みます
      BLだと一緒にいてやるか、一緒に行動するのがセオリーなのに
      暗い小屋に一人病弱で弱って心細がってる受けを置いていく!!という
      それが本当は正しいんだけどBLだと思うと珍しい

      さらに「絶対俺が助けます」じゃなくって
      攻めが受けを安心させるセリフが
      「遺体はどんなことがあっても取り戻し埋葬します」と
      亡くなること前提で約束をしてあげて、それで受も安心しているのです

      でも、このおかげで生死をかかった大一番だというのが伝わり
      だからこそ今までフワフワとやりすごしてきたカレルも
      自分の気持ちに気づいたのだな〜と思います
      今までノラリクラリしていたのに愛情に気づくきっかけとして強い引きがあって
      説得力がありました
      たまにBLでは「え?なんで行き成り心代わりしたの?」「そんなに突然好きになる?」
      とい急展開がありますが、そういう突然さを感じなかった
      どこまでも丁寧でゆっくりな歩み寄りなのが良かった

      街に帰ってきた後も一気に仲は進展せず
      一緒に買い物をしたり寄り添う中で愛情を育てます
      美しい鳥かごに鳥を入れられて喜び
      それを大事に可愛がるセレルが可愛らしいのと
      やはりこの鳥エピソードがのちのちに影響します

      自分の死期が近いことをしったカレルは
      自らユーリスの元に行き、一夜を共にします

      この時点でBLだしファンタジーだし
      魔法の秘薬が発明されセレルの病気は治るものと
      私は勝手に思っていました・・・・
      そんな悲恋っぽい話でもなさそうだしな〜っと
      でも・・・・・忘れていました
      もともとはかわいさんってJUNE時代の作家さん!!
      初期は結構痛々しい話が多かったんだった・・・・

      弱っていくカレルは遺言を残します
      クローンに記憶を埋め込められうチップをユーリスに託します
      三年後にクローンが再生されまたここに来るから
      それまで自分を愛していてくれるならチップを埋め込んで欲しいっと
      もし他に愛する人ができたのなら捨ててくれと
      そして指輪は貰っていいか?と聞きます
      「これだけは・・・私の・・・」と

      もうここで私は滂沱の涙
      最後まで淡々としています
      ユーリスが無様に「死なないでくれ〜」とか
      「何年経ってもあなたを待ちます」とか
      「チップはきっと渡します」とか言わないのがいい
      色々言いたくなると思うし、作者としても言わせなくなると思う
      今生の別れですからね
      なのに「指輪はあなただけのものです」これが全て
      これだけでイイと思う

      死に際も看取りません
      普通BLって看取る気がする
      でも、見窄らしい姿を見せたくないから・・・という
      カレルの気高さを尊重します
      遺体の顔も見ません「自分の見窄らしい姿を見られたくない人だったから」と
      そして、ちゃんとカレルの遺体は病状なりに美しいままではないのですよね

      色んな意味で、BLのアルアル事情を地味に覆している作品
      大筋は王道なのに、小さなエピソードの落としどころがBL展開ではなく
      ちょっとリアル?路線

      ちゃんと三年後のクローンの記憶が読みがるところまで入っているので
      一応ハッピーエンド
      小鳥と指輪のエピソードが効いています
      ちょいちょい回収されているのが良い


      でも、こういう話だと思わなかたので私はビックリ


      なんとな〜く話は全然似てないんだけど【銀の鎮魂歌】を彷彿
      こういうの90年代なら珍しくないけど
      BLとなって今では珍しい

      関係ないけど【幸運男子】とかも古本屋で見つけて軽い気持ちで読んで
      面白かったから続きを揃えたら衝撃のラストで
      しばらく「う〜〜〜んう〜〜〜ん」てなったもんな〜


      エロ薄・丁寧な描写&世界観・BLご都合主義が発動しない
      などのことから、漫画だったら90年代なら
      少女漫画にすべり込ませることもできたかな??
      なんか、当時BLという言葉もなくBL本が堂々と本屋に並ぶこともなく
      私自身幼すぎて男同士の恋愛漫画・小説があるのも知らなかった頃
      たま〜に男同士で恋愛事している?作品とか少女漫画に混じってありました
      「ん?何かおかしいぞ」と思いながら読み飛ばしていた当時


      基本は銀長髪美人受とか好きじゃありません
      それこと昔ながらの高貴な長髪病弱中性美人て感じで
      男前・つり目・ヤンキー・黒髪受け好きの私の好みに反する

      だけど、そんな私の萌嗜好を吹っ飛ばすぐらいに
      話が丁寧で美しく優しく静謐な良作でした

      また、葛西リカコの絵が繊細で美しい
      葛西さんの挿絵の本を最近たくさん見るのですが
      かわいさんのあとがきを読んで「とても丁寧に仕事する方なのだな」と思い
      こんなに丁寧に早く仕事をしてくれるなら
      作家さんも気分いいし、編集さんも使いやすそうだな〜と
      人気?の理由が垣間見えました
      前は特に好きな挿絵家さんじゃなかたのですが
      【お菓子の家】から気にいるようになって
      今回は純粋に「丁寧で繊細で美しいな」て思いました


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