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    • 2014.11.05 Wednesday
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    【天涯行き】凪良ゆう

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       調度、これを読む前日にN〇Kで
      「何かしらの理由で家族から愛情をもらえなかった人々」の討論会?
      話し合い?の番組がやっていてボ〜と見てました

      「父さん、母さんと聞いても自分には誰も浮かばない
       同じ読み方なのに人によって思い浮かぶ人が違うのが不思議で堪らなかった」
      「皆、普通に家族の話をするでしょう
       でも私にはその当たり前のことが出来ない・・・
       それだけですごく他人に壁を感じで孤独になる」
      「心に大きな穴が空いていて、どうにかしてそれを埋めようとする
       周りも埋めたほうがイイと言うんだけど
       埋まらないんだよね。一瞬埋まった気がする時があるけど
       その蓋はすぐに剥がれまたそこに穴がある」
      「穴を埋めようとするとますますそこに穴があることを自覚してしまう」


      ちょっと言葉は違いますが↑のようなことを語っていました
      昔し、「最〇の家族」が話題?になってる時だったのですが
      (M上龍さんの小説です)
      「何も知らない人にわかったように他人の苦しみを語って欲しくない
       そうやってわかったような人がいるから、ますます苦しくなる」みたいなことを
      色々家庭が大変そうだった友人から言われて
      「私は彼女に何もできないのかな、ちょっとした私の発言も傷つけてるのかな」と
      悩んだことがあります
      それを、親戚のお坊さんに相談したら
      「何もできなくてもそばにいて、いつでも味方でいてあげなさい」言われた
      その時、私は何だかちょっとモヤモヤしたんですよね
      それは本当に「何もしないのと同じではないか?」と




      N〇Kの続きでは司会の方?はそれを受けてこう答えてました
      「その穴はずっと以前に出来たものだからね
       傷ついて出来た穴は、その直後じゃなければ塞がらないものだよ」

      私は「時間」の話が出た時
      「いつか時間が解決してくれる」と言うのかと思ってしまったのですが
      そうではなく
      「すぐ愛情で癒されなかった穴は、穴が開いたままの状態で完治してしまった」
      と、言う感じでした
      実際に体に傷が出来た時、すぐに治療したり縫ったりすれば傷の跡は残りにくく
      完治も早いし、場合によっては普段そこに傷があったことも思い出さない
      でも、そのまま放置して膿んでただ自然治癒にまかしただけだと
      完治しても傷があった時のまま跡が残ってしまい
      見るたびに当時の痛みを思い出しやすい

      時間の経過は傷を塞いではくれるし、痛みを遠いモノにはしてくれるけど
      傷ついた事実と跡と痛みの記憶はずっと無くならない
      傷は傷がまだ生生しい時に治療しなければならない

      当たり前のことなんですが、改めて色々思ってしまいました
      そして、他人はそれに対して本当に無力なんだなっと
      「何かしてあげたい」「傷を癒してあげたい」と思っても
      傷跡が残り、痛みを思い出し、当時の辛かった記憶はあるけど
      その傷自体は塞がってていたりするのです
      では、心に出来た傷跡=穴は埋められるのかというと・・・・
      皮膚移植とかと考えればいいかもしれませんね
      他人の皮膚とかだと拒絶反応が出てしまう
      結局、自分の健康な皮膚を傷ついた所に移植するしかない
      ようするに、自分自身でしか穴をどうにかすることはできないのです



      BLでは傷つきトラウマを抱えた二人はお互いの寂しさをお互いで埋め合います
      ピッタリと合わさるように悲しみを補完しあうことが多いい
      そして、これはある種のBL定番の展開です
      私は定番が好きなので、それでイイと思いますし
      そういう話は上手くいくと切なくて好きです
      今回の【天涯行き】もある種、この王道展開でした


      でも、少し違います
      パッと読みは今までの王道の
      切ない傷つきあった人達が寄り添う話なんですが
      上手く言えないですが、お互いの寂しさをお互いで埋め合ってるのとは
      ちょっとだけ違うんですよね
      共依存の関係(私コレ大好きなんですが)ではないと思う
      私が前日にN〇Kを見てなかったら、ただの切ない話だったんですが
      このタイミングで読んで良かったです
      (調度、未読本5冊手元にあってどれ読もうか迷ったんですが
       自分の直感があたって良かった)


      本当、一読すると
      お互いのトラウマをお互いの愛情で埋めてる話のように感じます
      実際、文の中で『鍵穴のようにハマる』とあります
      これはお互いの寂しさを無意識で埋め合ってる自覚があるのでしょう
      ですが、この文に『(鍵が)開いてしまいそうだ』と続く
      埋め合うための「鍵」ではなく
      開くだめの「鍵」なんですよね



      攻めも受けも
      「俺が助けてやる」「(失った愛情以上に)愛してやる」などの
      相手の傷を自分が癒してあげる・・・・という能動的なことを言いません
      相手の愛情で寂しさや辛さがなくなっていってるのですが
      相手の愛情だけをポッカリ空いてしまった穴に埋めてるわけじゃないのです

      それがすべてのトラウマの元凶に会った後の受けのモノローグでわかる
      底がが抜けた心に底が出来たと思った後に
      『外から圧迫され、身体の内側に微量にたまった感情が水位をあげる』
      (P168 1行目)
      外から愛情を与えられることによって、自分の愛情で傷が埋まっていくのです
      他人の力(愛情)がないと傷は埋まらないんだけど
      それは愛情をその穴に注ぐことではなく、自分の愛情で埋めていく
      ・・・・という
      これが今までのBL王道と違うところかな?と思いました

      意識しなければ、
      ぽっかり空いた寂しい穴に攻めの愛情が注がれたように思います
      ですが、受けは攻めの愛情を知り自分の力で穴を埋められるようになっていくのです
      同作家【積木の恋】はどちらかというと
      前者の「寂しさが他人の愛情で埋まっていく話」だったように思います
      【積木の恋】は初期に書いた作品らしいので、
      それからの作家の成長と言うと私なんかがおこがましいんですが・・・・
      凪良さんの筆力や感情の深み何かが伝わりました



      攻め自身も悩みます
      復讐したいぐらい憎い男がいるんですが
      「相手に復讐したところで自分の悲しみは消えない」
      「相手に復讐しても相手は反省しないタイプの人間で意味がない」
      その憎しむことへの虚しさに気づいてしまいます
      ここでもBLらしく、受けの愛情で癒されて憎しみがなくなる・・・・とかになりません

      『どんだけ時間が経っても悲しいし、悔しいし、後悔とか色んなものを抱えて
       生きてくんだと思う。それが俺の人生』(
      p136 10行目)

      憎しみや苦しみを抱えたまま生きていくしかない、と覚悟をするのです
      そして、そんな攻めを見て受けも自分の人生に対して覚悟を決めていく



      二人は確かにお互いを支えにして、お互いの愛情が必要で
      その愛情によってトラウマを乗り越えたかもしれない
      でも、よくあるBLトラウマ話のように悲しみや苦しみから開放はされてない
      癒されたり助けられたりお互いの傷を埋め合ったりできていない
      愛があっても傷は簡単には癒えないと、しているのが新鮮だった
      BLでの愛って万能アイテムだからね
      愛があれば大概が許されるし
      愛だけで大概のモノを乗り越えてしまっていてる
      それを愛があっても無理なものは無理!
      でも愛がなければ幸せにはなれない
      っというのが、今までにない法則?でした


      二人はお互いの愛情によって補完しあうのではなく
      他人の愛情により変わっていき、それにより自分が強くなり
      自分自身の過去や苦しみを自分の力で乗り越えて
      行きます
      助けられるのではなく、自分で自分を癒していくのです
      文で書くと大したことなく感じますが
      相手の愛情を得ることによって、傷つきながらも強くなって
      一番恐れて苦しんでいたことから目をそさらずに自分で乗り越えるというのは
      途方もない労力と痛みと恐怖と精神力ですよね
      BL抜きにして、中々コレらのものとは向き合いにくいものです
      一般小説だと最近A川賞にノミネートされたM城0太郎【熊のBA所】とか
      そういう恐怖からの脱却話として好きだったりします
      (関係ないけど、昔から好きな作家さんだから賞とって欲しいな〜
       しかもあの作風で純文学賞とか)

      作家さんとしてそれを突き詰めて書いた凪良さんはスゴいな〜と思いました
      BLというジャンルの中の作家さんですが
      トラウマや復讐の話のBL王道にあてはめなかったのがスゴイ
      それでいて、ちゃんと現実に沿った「救い?」を作家が模索しているのが伺えた
      BLで泣けるモノはいっぱいあります
      切ないものや悲恋もある
      でも、小説という観点で見た時に「BL定番」の中で泣かせるのは違うんですよね〜



      ムショものだと木原さんの「月に嗤う」「箱の中」「檻の外」がありますが・・・・
      私は個人的にそんなに・・・・だったりします
      BLとしては面白いんですが、
      BLらしくないテーマを持った出だしだったのに
      結局、作家が掲げたテーマが突き詰めきれずに
      最終的にとてもBLらしくなってしまったのが私は残念でした
      攻は自分の寂しさの穴を自覚したことからひたすらに受の愛情を求め
      受は信じていた世界が崩壊したことから、自分だけを信じ求める攻を必要とする
      それは愛情ではあるけれど
      お互いに自分の寂しさから逃れるために相手の愛情に逃げた気がしてしまった
      BL的には正しいのですが、これでは二人の心の闇は何も解決しない
      最終的に、この結末でもいいから
      それに至るまでに二人ともに「何故、この人を求めなければいけないのか?」を
      お互いの寂しさに焦点をあてて問いただして欲しかったのです



      この本では、最後の方の3年半も数行で済ますのではなく
      ゆっくりじっくり書いてくれたのも良かった
      受けの酷い過去もじっくり書いています
      (読むのが辛かったけど)
      過去の辛い話は意外とBLだとサックリ数行で終わらす作家さん多いいんです
      「昔こんな辛いことがありましたよ」みたいな書き方で
      現在の受けの苦悩やトラウマっぷりを読めば十分苦しさが伝わるので
      それはそれでbl小説はイイと思ってます
      BLって萌え話を読みたいのでそこはあんまり触れなくてもいい側面がある
      その辛さを全面に出してしまうとBL小説としての面白さは軽減したりしますし
      BLとしての形を追求するなら余り辛い過去話はツッコんで書かなくてもいい


      ただ私が最初BL小説読んだ時は、暗〜い文学系小説が好きだったのもあって
      「え?そこをそんなに胆略してしまって良いの?」なりました
      たまに、じっくり書いているのもありますが
      ジュネぽい痛い系BLにして、どうもやはり心の痛みというよりは
      エロを絡めて被虐系BL萌に訴えていたりする気がする

      今回はじっくり書いてるわりに、BLエロに走りすぎてないのがいいんですし
      受けが必要以上に悲劇のヒロイン気質じゃないのも良かったし
      この話にはある程度の辛い過去話は必要だったと思います
      辛くて痛いんですが、読み心地は重くないです


      あと、他の凪良さんの作品でも思いましたが
      BL小説なのに悪い奴に何も制裁が加わらない
      木原さんの作品もそうですね
      それが変に現実的だな〜と思います
      概ねのBL小説は悪いことしやつには何がしたの償い?があるものです
      人づてにその後があって落ちぶれていたりするのですが
      実際、現実には悪いことしても何も起こらない場合が多々あります
      人を傷つけても何も感じない人もいます
      「悪いことをした」と思ってないのだから罪の意識もなく心も痛みません
      そうすると、傷ついた者だけが辛いんですが
      そういう場合もなきにしもあらず
      創作物の中でぐらい悪者には制裁が欲しいところですが
      そこをしないのも凪良さんの作風な気がします
      (悪い奴をただ野放しにしているのではないというか
       どうにもならない現実というか)



      BLと普通ぽさの兼ね合わせがうまいのと
      BL萌を散りばめながらも
      現実に沿ったトラウマの見せ方をしているのが面白かったです
      後半の20ページぐらいからはずっと涙出ました
      ワンワン泣くんじゃなくて、ポロポロ涙が自然に溢れてくる感じです
      切ないとも寂しいとも違うんですよね
      一番辛い時期は過ぎたし、数年後には幸せになれるビジョンがあるのに
      読んでいて涙が出てしまいました
      ラストはあからさまではなく静かに終わったのも余韻があって良かったです
      【恋愛前夜】でも思いましたが
      BLとしてはちょっと物足りないような
      ドラマチックさが欲しいところなんですが
      作風の口当たりの柔らかさや、意外とBL王道の展開とかのわりに
      テーマ自体はよく思量されているので
      凪良さんの作品はこういうラストでいいのかな〜と思いました




      普通に読めば普通のBL小説なんですが
      作家さんなりの行き着いた答えがあり
      それをどうにかしてキャラに吹き込もうというのが感じられました


      ただの寂しさを埋め合うBL小説じゃないんだよ!というのが
      少しでも伝わればいいな〜と思います






      それと、凪良さんはあまり後日談や続編ものを書きませんが・・・・・
      今回に限らずに甘甘な続編が短編でもいいから読みた〜い
      幸せイチャイチャしてる二人が読みたいよ〜!!!



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