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    • 2014.11.05 Wednesday
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    【明日も愛してる】安芸まくら

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       記憶喪失モノはBL王道でよくありますが
      前行性健忘症(短期記憶失障害)を大々的に扱ったものはこれぐらいじゃないでしょうか?
      華籐えれな【あなたは僕を愛してない】には脇役がそうでしたが
      メインカプで扱うというのがスゴイな〜


      過去のことを忘れてしまう記憶喪失と違い
      新しい事柄を覚えることができず、時間がくると忘れてしまいます
      この主人公でいうと13分しか記憶を保っていることができません


      映画でこの記憶障害を扱ったものだと二作知っています
      【メ〇ント】妻を殺した犯人を10分しか記憶を保てない主人公が追う話
      彼は記憶を保つためにメモを毎回かかしません
      また、どうしても忘れたくない妻の犯人への手ががりはタトゥーにして
      躰のいたるところに書き込んでいます
      映画のとり方が未来→過去となっているために
      視聴者自身も主人公とともに過去に何があったのかわからないサスペンスミステリー調
      例えば我にかえると主人公がクローゼットに入ってる
      何で入ってるのかわからないけど、汚れているのでシャワーを浴びる
      浴びていると知らない男が入ってきたので思わず殴る
      10分前の過去に戻ると主人公は殺人犯だと思われる男の家につく
      自分がいることを知られないようにクローゼットに隠れるがそこで記憶が途切れる

      これを何度も繰り返しながら過去に遡っていくのです
      【パルプ・Fィクション】とかと映画の撮り方の手法は同じですね〜


      ラブコメだと【50回目のファースト〇ス】
      プレイボーイがハワイで一日しか記憶が保ていない女性を恋と堕ちる
      彼女は家族と周りの人達の計らいで毎日同じ日を繰り返しているのです
      新聞やカレンダーも同じ日。周りもその同じ日になるようにしてくれてる
      彼は毎日毎日、彼女を色んな風に口説くのです
      でも、彼には夢がありそれを叶えるためには彼女のそばを離れないとならない
      彼女もその気持ちを組んで彼と一緒にいた証拠自体を無くし
      彼自体を忘れて彼を自分から開放しようとします


      これは旦那と婚前に見て二人で感動で泣いた映画です
      最後も「夢みたいな治療法でハッピーED」じゃなくって
      ちゃんとそれなりに折り合いがつけられているのが好きでした
      日記とビデオと絵がここでは記憶を保つための鍵でした



      で、一応この作品を読む前に上記二作が良い映画だったので
      「BLで取り上げたらどうなるんだろ〜」と楽しみに読みました
      (小説「博士の〜」も多少連想されるんですが、小川さんの作品網羅していて
       有名な作品で小川代表作みたいになってるけど
       私は他作品のが好きで自分の中では「博士〜」は余り印象になく
       読み終わってから「あ!」てなる程度でした)



      いや・・・・良かった

      しかも、これはBLだからこその良さだったと思う
      一言であらすじ

      短期記憶失障害の人と恋人とのある一日

      本当にコレだけで事件らしい事件は起きません
      また、厳密に過去の話やら事故のことやら書かれていません
      だから読み終わった後も二人はどうやって出会ったの?
      家族はどうなったの?攻めは何やってる人なの?
      何で主人公は金持ちなの?とか疑問があるんです
      ツッコムともっといっぱい明かされてない色んなモヤモヤがある
      でも、そういう細かいことはどうでもいい
      この話はそういう辻褄合わせや過去を書きたいわけじゃないから

      相手が自分を忘れてしまっても相手を愛し続けることの困難さ
      それを支えることの難しさ
      何度でも同じ人を好きになる・・・なんてそう簡単じゃないよ!という
      そういう献身愛というか普遍的なものを書きたかったんじゃないかな〜
      文字にするとチープになりますが、本当に実現するのは難しいことです



      もしこれを文学系だったり男女恋愛小説だったりラノベだったりでやる場合
      事件を起こしたり過去を掘り下げたり
      家族(ここだと妹)の話やら二人の関係やらを入れて
      ミステリーかサスペンスかお涙頂戴モノか
      もうちょっと物語に緩急を付けないと物語として成立しずらかったと思う


      だけどBLは二人が愛し合うこと
      ただそれだけを書いてればイイ!という側面が多少あるんですよ
      だから二人の一日に密着しただけの話が成立する

      この一冊に収められた一日が終われば
      また二人はこの一冊のような別の波乱万丈な一日を送るのです
      (ここまで色んなことがなく穏やかな日もあるでしょうが)



      この題材はBL以外でも書けるけど、この題材を扱って居ながら
      ただの一日を追っただけの過去も事件も何もない話は
      BLだからこそなりたったと思います
      前行性健忘症をテーマにしてただ普通の一日を書いても
      ミステリータッチにしたりで、余程筆力や構成力がある作家さんじゃないと
      楽しい小説にするのは難しいと思う
      その場合恋愛をメインに置くんじゃなくって
      物語の面白み、次何が起こるんだろ?という展開で楽しませる小説になってしまい
      この小説のように「自分を何度も忘れてしまう人を愛する男」の苦悩と愛と切なさに
      あまり焦点があたらないモノになると思うんですよね
      まず、一日限定だけの話を一冊にするのが難しそう
      このテーマならもっと過去〜未来と一冊の中にドラマ性を込められるし
      男女もので「愛する男」(女でもいいんだけど)をやる場合は
      「実際にこういう気持ちになるかもしれない」という共感をもっと持たせないと厳しい
      男女恋愛モノって普通に自分も経験する恋愛の形でもあるから
      まったく共感できないモノって読み続けるのが厳しいと思うんですよね・・・・
      女が男のエロ漫画読んで「こんな女いないよ〜!!」てなる感じというか
      恋愛で感動させるならもっと深く掘り下げないと厳しい
      そのためには『ただの一日』を追う話では厳しいと思う


      でも、BLはファンタジーだから!!
      男女の恋愛に持つ共感性とは違うベクトルで読める
      だから「こういう究極の愛情があるかもしれない」と思える
      思えるからこそ読んでいて切なくなれるのです


      私だけかもしれませんが、男女恋愛創作物で求めるモノと
      BLで求めるモノって別ですからね・・・・


      『ただ二人の一日を追う』
      『過去の話や曖昧な部分が解明されない』
      『大きな事件などが起きない』
      『特に書き口方や構成など小説技法に目新しいトリックがない』
      『ひたすら二人の愛情物語』
      以上の条件を満たした作品で面白かったのは
      それはBLという土壌だったからだと思います


      私は「これって別に受けが女でもいいんじゃない?」と言う話が苦手なので
      「これはBLでしかないな」と思えるモノで嬉しかった




      お話的には切ないです
      一人称記憶障害の主人公で全部進むので攻め様の気持ちは
      セリフと主人公が見る表情・立ち振る舞いでしかわからない
      でも、その中で「自分を何度も忘れてしまう人を愛する」切ない一途さがある
      一度忘れられるだけでも辛いのに、ちょっと信頼関係が出来上がっても
      相手は13分で忘れてまた関係を築かないといけない
      主人公が攻めを「好きだな」と13分の間に思ってくれても忘れてしまう
      そのたんびに話かけたり嘘をついたりして、相手に安心感を与えないとならない


      主人公もまぐれ?にすべての記憶を持っている時に
      「お前だけは忘れたくない」と思うのです
      でも、そう思ったことも忘れてしまう
      「自分が重荷だったら捨ててくれ」という主人公に攻めは言います
      「あなたが知らないところでも俺はすっとあなたを愛してる」
      切ないよ〜!!!

      受けも切ない
      「どうか悠児を幸せにしてください
       俺に悠児を幸せにさしてください」と神様に願う主人公に泣いた!!



      「愛ってなんだろ?」という主人公に攻め様の説明もよかった
      「お前にしか使えない俺を幸せにするMPをかなり消費してしまう魔法がある
       お前はそれを俺にかけてくれるなら、俺もお前にかけてあげる」
      「自分自身には使えないの?」
      「これは相手にかけてもらってこその魔法なんだ」
      「二人は離れ離れに別れてしまってもう二度と会えない
       効いたかどうか確認できないし、俺はそれに気づかないかもしれない
       それでもお前は俺に魔法をかけてくれるか?」
      「会えなくても俺にその力があるならかけるよ」と主人公は宣言します
      それに笑いながら攻め様は答えます
      「はじめまして、いつもありがとう。
       俺はもうずっと前から
       お前に魔法をかけ続けてもらってる男だよ」
      号泣してしまいましたよ〜
      もうね、本当切なくて切なくてたまらなかった


      絡み的にも特濃でした
      一回が長い!!濃い!!
      多少無理をしても攻め様はいつでも愛情豊かで本当の無理強いはしません
      受けもBLらしく快感に弱いし、記憶があった時は結構エロが好きそう
      やり方も色んな手法にこっていてよかったですし
      私個人的にはT首責めが徹底していたのも好みでした






      もう、読んで読んで〜!!!て作品です
      個人的には木原さんの作品より私は泣けましたよ
      木原さんのが小説的にはお上手ですし
      話上、繰り返しはしょうがないんだけどちょっとしつこい?部分もあるし
      細部の書き込みもわざとなのかなされてなかったりもするんですが
      作者が真骨注いで書いたんだろうな〜というのが伺われます



      上記のように小説としては甘い部分があるんですが
      物語のテーマが一貫してぶれてなく、作者が書きたいことは書かれていますし
      コメディになったりエロかあったり切なかったりシリアスだったりと
      記憶がかわるごとに物語の色が変わるのも面白かったし
      挿絵も良かったしで私の中では満点!!!!



      ひとつだけ・・・あるとすれば題名でしょうか・・・
      悪くないんですが、最後攻め様が
      「おやすみ。櫂、また明日な・・・」と言うんですが
      寝てしまえばますます主人公は攻め様のことをわからなくなる
      (記憶の繋ぎがまったくないので)
      それを主人公がちょっと不安になっているし
      一日たった主人公は今一緒にいる主人公の記憶はないんですよ
      ある種『別の人』でもある
      それなのに「また明日」と今日の延長のように言う
      「また同じ人に必ず会える」確約みたいな「また明日」

      これを反映して【明日も愛してる】なんですが
      例えば【愛しい人よ、また明日】とか
      【今日のあなたに、おやすみ】とかとか???
      何だろう「おやすみ。櫂、また明日な・・・」にもうちょっとかかった題が良かった




      BL小説の題で「これはイイ!!」というのに余り会ったことがないです
      BLだと買うときも読むときも題<挿絵なので重要性は低いんですが

      私は小説だと題名とかすごく気にするほうです
      読み終わった後に「あ!この題だからか・・・」となるほどピッタリしてるのが好きだし
      題名が美しいとそれだけで本に興味がでます
      そう思うと最近の作家さんより昔の文豪のが題名上手いんですよね
      【B徳のよろめき】【第N感層彷徨】【暗Y行路】【草M宮】【sに目覚める頃】とかとか
      T山さんも好きです【我にS月を】【K粉航海】とか
      字面だけで美しいと思いますも〜ん

      BL作家さんで好きだな・・・・と思ったのは
      水原とほる【陰猫】【涙の中を歩いてる】ぐらい

      好きなBL作品はいっぱいあるし、好き作家は別なんですが
      特にBL本棚とか見ずにパッと浮かんだ題名がこの二つだったので
      「好きな題名なんだな」と改めて自分でも今思ってしまった


      好きな題名って一般作家でもラノベでも漫画でも覚えていますもんねぇ
      でも好きな題だから覚えているのと面白い作品だから覚えているのは違うんですけどね
      まぁ・・・そう思うと題名ってプレゼントの包装紙みたいなもので
      中身がよければ包装紙は綺麗にそれなりに包めていれば良かったりしますが
      中身は普通でも包装がそれだけとっておきたいくらい素晴らしい
      また、中身が極上でそれを引き立てるぐらい包装が素晴らしい

      そんなことがあってもいいのかもしれません



      BL小説で思うのはもうちょっと全体に題名が良くならないかなぁ・・・・と
      どれがどれかわからないような題名やあんまり考えられていないようなシンプルなのか
      無駄に華美な題名とかしかないような・・・

      BL漫画のがまだ題名が美しいと思う
      【クララはいつも傷だらけ】【リンゴに蜂蜜】【かなしい人はどこにもいない】
      【どこにもない国】【憂鬱な朝】【同級生】【青春花心中】【成層圏の灯】
      【プライベート・ジムナスティックス】【幾千の夜】【エンドゲーム】【水温む】
      【キスブルー】【ジンと猫は呼ぶとこない】【欲しいもの全部】
      パッとすぐ浮かぶだけでこれだけあります
      何か響きや字の並びやカタカナ漢字ひらがなのバランスとかがイイ


      こんなこだわりがあるのは私だけなのだろうか・・・・





      感想書くために軽く飛ばしながら読み返したんですが
      再読するとさらに切なくて悲しくて愛おしくなる作品です
      色々読んで久しぶりに「これはBLだからこその感動だな〜」というのと
      「作者の作品にかける意気込み」がある作品を読みました


      かわい有美子【水に映る月】【上海】
      砂原糖子【イノセント〜幼馴染み】
      榎田尤利【夏の塩】【夏の子供】
      これらに私の中でノミネートされる作品です

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